本人訴訟日記(以前→過払い金請求日記) -4ページ目

第6回 大人と子どもの交流読書会 第二部 内容

第6回 大人と子どもの交流読書会 第二部 内容






10/25(日) 第6回2部読書会(書籍紹介型)を14:30~16:30で実施しました。

参加メンバーは4名。

今回も常連メンバーなので、自己紹介は割愛です。

学生の参加の都合がつきませんでした。残念。

今回から、みんなの近況報告をしてもらいました。



ここから本日の書籍紹介です。


『中学校数学科授業 成功の極意』

今現在読んでいる本を持ってきました。
中学校の教科書附属教材を作成中で、授業過程を重視するテキストを作らなければならないので、この本を読む必要がありました。
書かれている内容は、授業を体系的に進めていくことが重要であるということです。

(ここで、ホワイトボードを使って、方程式や平方根や図形の角度問題について説明してくれました)

中3の一元二次方程式を解くには、中1の一元一次方程式を使って解くことが必要であり、過去にやった問題と今やっている問題がリンクしていることを説明しなければいけないということが書かれています。
中3の平方根の問題も、中1での正負の数の教える順番と連動しており、負の数=平方根の説明、大小関係、加減、乗除、四則という流れが同一であることを説明すべきだと書かれています。

図形の角度を解く問題では、補助線を引いた生徒になぜそこに補助線を引いたのか?他に解き方はないのか?を生徒から聞き出すことが重要で、子供の発言で授業を組み立てることが必要と説明されています。

以前に学習塾で教えていたときは、解法技術だけを教えればいいと考えていました。
書籍にあるような体系的な説明をしていなかったと反省しました。

(主催者コメント)

ホワイトボードを使った授業のような紹介は面白かったです。
読まなければいけない本が沢山あるそうで大変ですね。
この読書会が少しでも息抜きになるならと思います。




『やわらかな言葉と体のレッスン』

著者はインタビュアーであり、世界の武道に精通している人。
体と言葉を使ったコミュニケーションとは何かを説明している。
科学的な見方は客観的であり正しいと信じられているが、信じすぎないように気をつけるべきである。
自分の体を使って話すことができない人が存在する。
もっと心を自由にして話した方が良い。
情報化できることはその程度のものであり、自分の心の中を表現しきれないほど少ないものである。

この本を読んで、自己紹介をすらすら言える人は嘘くさいなと思った。
自己を紹介しているのではなく、自分の願望を話しているだけではないか。
人から貴方を説明したいと言われると不快だが、貴方を理解したいと言われるとうれしいものだ。
感じたことをうまく言葉にできないと思っても話していくほうがいいと思う。
だから今日は、自分の思うままに話してみようと思う。


『数学する身体』

前回に紹介した森田真生氏の本。
特に印象的なのは、チューリングという人が数学を使って人間そのものを解明しようとする試み。
彼はコンピューターという概念を初めて提唱した。
第二次世界大戦でエニグマの解読を機械を使って行った。
それによって、1年間早く戦争が終結したり、何十万人もの人たちを救うことになったと言われている。
単純な計算しか出来ないコンピューターを複雑なことができるように変えていった。
人間の心はタマネギのような物で、皮を剥いていけば何かがわかる、あるいは何もないと言うことがわかるかもしれないと考えた。
人工知能を推奨した人も彼である。
チューリングテストというものがあり、これは人間が行ってでる確率と同じ確率で人工知能ができるようになれば、人工知能=人間と言えるのではないかという考えで作られたテストである。
人間の力では解けないと思われるパズルでも、そうした難問に立ち向かう姿勢が重要だと言っている。

私が読書会に求めるものは、一冊の本を使って、その本をどんどん掘り下げていくこと。
そうすると、自分や相手のことをどんどん知っていくことができると思う。

前回の中で説明した岡潔は、数学者でありながら、問題である対象と一体化して考えるような人。
対象を実感することで、それを解いていく。

(主催者コメント)

もう伝えたくて仕方がないという気持ちが読書会のたびに強くなっているのがわかります。
数学で人生を人間を宇宙を解くというテーマは、今の学校教育に欠けていますよね。
授業の冒頭で、「これから数学を使って人間を解きます」などと言われたら子どもたちは何々?と目を輝かせることでしょう。
絵の宿題があるにもかかわらず、読書会への参加ありがとうございます。
また、その後の食事会で夜の10時まで!宿題間に合いませんね。ごめんなさい。






『美人画報』3冊

オシャレ漫画家と言われる著者。
雑誌に連載されていたものをまとめた。
著者はなりたい美人を自分の中に持っている。
外面だけの美人ではなく、内面も兼ね備えた美人で、今の時代でも通用する美人の概念である。
1999年に1冊目が出されたので、古い情報。

このエッセイを読んで、現在、自分の学習している公開マッピングで「やらなきゃ」という考えを「やりたい」に変えていきたいと思った。
著者は「やりたい」ことをしている人だが、プレッシャーで鬱になったこともある。
自分がなりたいメンター(理想像)を作っていかないといけない。

(主催者コメント)

この後で、みんなに協力してもらい、公開ibマッピングを行いましたが、参考になったでしょうか?
10分間で落としどころを探していくのは難しいですよね。
私とOYさんのマッピングで何かをつかめたならば良いと思います。



私から。

『かもめのジョナサン』


大学1年生の時に英語研究会で文学討論会があり、そこで原書を読んだ。

今やっている読書会のキャラクター分析やテーマ分析の手法はここからとった。

ネームカードを作って、討論終了後にみんなからコメントをもらった。

 

食べて生きるための手段として飛ぶのではなく、飛び方を研究することが人生の目的と考えるかもめのジョナサン。

自在に飛行をコントロールするにはどうしたらよいかを研究する毎日を送る。

しかし、群れのものたちはジョナサンを異端扱いして追放してしまう。

一人でジョナサンが飛行コントロールの練習をしていると、どこからともなくジョナサンと同じ考えをもつかごめたちが現れて、さらなる飛び方をジョナサンが学んでいく。

 


自律、自発、勤勉、親密、世代へ伝えるという人生の成長過程が描かれている。
高い段階へと自らを導いていくこと、知的欲求が生物に課せられた使命ということを訴えている。









【読書会に参加したみなさんの感想】


■今回はみんなの持ってきた本の内容が難しかった。
わからない世界だ。
理解するのに疲れた。

■難しいことをもっとわかりやすく説明できるようになりたい。
読書会を使ってそれができるようになりたい。
今回の読書会が今までで一番人と話した感があった。

■みんな優しいなあと思った。

■新メンバーが参加してくれなくて残念だった。
今回、近況報告を急遽入れてみたくなった。
今回の読書会は盛り上がって3時間かかったが、今後人数が増えた場合、時間をどうしていくか課題であると思う。

第6回 大人と子どもの交流読書会 第一部 内容

第6回 大人と子どもの交流読書会 第一部 内容




10/25(日)第6回読書会 第一部を10:00~13:00で実施しました。

参加者は2名です。

残念ながら、中学生・高校生の参加はありませんでした。

今回の課題図書は『火花』(又吉直樹著)です。

火花/又吉 直樹
¥1,296
Amazon.co.jp

常連メンバーのため、自己紹介は割愛です。

今回も、まず読んでもらった感想を伺いました。

『読みやすくさらっといける文章。

独特な言い回しでところどころ言っていることがわからない。

共感できるところがあった。

自分が日常的に疑問に思っていたことが解けた。

楽しく読めた。

今勉強している学校で、セラピストは生き方だと言われているが、言葉として理解できるもののつかみきれないところがあった。

でも、この小説の中で、芸人は生き方だという神谷の考え方があり、そこで腑に落ちた。

仕事の時だけでなく、普段から周りの人をいやせる(笑わせる)ような生き方をするべきであり、仕事のときだけ小手先の技術を使うのはいけないのだということがいえるのではないか。

ただし、思うままに生きることと自分に課されている役割との間でバランスをとることが必要であり、神谷の様に世間を無視して舞台に出るチャンスを失うようではいけないことがわかった。』


『フロイトやエリクソンの精神心理学にそって見ると、神谷の生き方は面白い。

フロイトの言うイドの快の感情と超自我の善の感情が、神谷の中でお笑いに関して一致していると思った。

よって、自我の損得勘定が育っていかない為、世間には受け入れられていないのではないか。

エリクソンの言うアイデンティティの拡散がおきず、自我の確立に至っていない神谷の精神構造が見て取れる。』





続いて、いつものようにキャラクター分析です。


1.神谷

■大きい目での優しさを持っているが、細かいところの優しさは雑で無頓着。

■自分の身近な人で、してあげたいと思った人には優しさを丁寧に細かくすることはできる。

■世間を無視して表舞台に出るチャンスを自ら潰している。

■リアルに物事を考えることが出来ない中2病者=純粋

■小さな壁をクリアせずに、するりするりとかわして生きてきたので、その分大きな壁にぶち当たりどうしていいかわからなくなっている。





2.徳永

■徳永=又吉のイメージ

■神谷や世間を見る観察者

■真面目である。

■神谷のモデルは、もう一人の又吉でもある。自分の中にある願望が神谷である。







続いて、テーマ分析です。

■初めての先輩・後輩という通過儀礼的接触を通して、世間との折り合いをどうつけていくかの成長物語。

■周囲の人間へ感謝の心を持つことが大切である。

■感謝の心を伝える=人を笑わすこと





その他、以下の点について意見がでました。

■神谷の行く末は、今後どう方向転換できるかどうかにかかっている。完全に芸人を辞めるのも選択肢。

■神谷の行く末は、神谷がどの職を選択するかが問題ではなく、世間との距離感をどうとるかが重要。

■徳永は当初、神谷の何に惹かれたのか?純真=嘘をつかない=自分に正直なところ。

■神谷は当初、徳永のどこに惹かれたのか?たまたまか可哀想に思ったから。

■芥川賞に該当する作品か?表現の美しさがあるかどうかの基準は曖昧でわからないが、又吉の美意識は文章から感じられた。

■芥川賞としてふさわしいかどうかを考えるよりも、メディアに出ている芸人の又吉が書いたことで、本に対する興味が世間で増えていくことは望ましいことではないか?

■小説の中で笑いの構造のようなものが紹介されていると思ったが、なかったのが残念。調べたところ、日本人の笑いは世界的に見ても多様で、「無知」「勘違い」など、その構造は8種類あると研究者が言っていた。




当初、本を読み終わったときはあまり作品の良さがや意味がわかりませんでしたが、読書会で意見を出したり聞いたりすると、再読した感じになり、作品の良さが浮き出てきた感じがしました。

第5回 北区の読書会 第二部 内容

第5回 北区の読書会 第二部 内容






9/27(日) 第5回2部読書会(書籍紹介型)を14:30~16:30で実施しました。

参加メンバーは5名。

新しいメンバーが1名参加されましたので、最初に全員の自己紹介を行ないました。

新メンバーは、中3生の男子です。


5回1





『森田真生特集(別冊みんなのミシマガジン)』

森田氏は30歳の独立研究者で、京都の山奥に住み数学の講演などで生計を立てている。東京大学に文系で入学するも数学科を卒業。岡潔の本に感銘を受けて21歳で数学者を志す。2年前に結婚。講演会には大人も子どもも参加でき、私は3回でたことがある。

今回の雑誌は、森田氏の特集で、数学のエッセイや講演会の内容が掲載されている。

彼の専門は圏論学といい、カテゴリに関する学問である。弘法大師空海の話から始まったりする講演は、数学というものを別角度から説明していて、数学嫌いな人も数学に興味を持てるような内容となっている。特に数学に対する誤解されたイメージを解くことに傾倒している。

数学はマテーマタと呼ばれ、つかんでいるものをつかみ直すという意味がある。別の言葉で言い換えれば、認識を改めると言うこと。知性に関する知がマスマテックスである。

二次方程式はXの解を求めることだが、本来は二次方程式とはいったいなんなのかというところから出発している。数字は3までは見て理解することができる が、4以上は見ても理解が素早くできないため、別の記号に置き換えられる。アラビア数字は見て理解しやすいと言うよりも書きやすさを重視して生れた。


今回はホワイトボードを使った説明を入れてくれました。

中3生に合わせて、二次方程式の因数分解や解の公式なんかが出てきました!

それにしても世の中には振り切っちゃう人っているんですねー。






『しろいうさぎとくろいうさぎ』

絵柄が気に入っている。くろうさぎがときどき考え事をしているのを見たしろうさぎが問うと、「ずっと一緒にいられるのかが心配で」と答える。しろうさぎは「一生懸命一緒にいたいと願っていればいい」と答える。最終的には結婚して末永く仲良く暮らすという話。

この話の結末に納得がいかない友人二人がいたので、なぜ納得がいかないかの疑問をここでみんなに聞きたい。

二度と苦しむことがなかったという部分が非現実的と思えるのではないか?大団円では理想的すぎる?

プロポーズの言葉を男に言わせる女性のしたたかさに違和感を感じたのではないか?




絵本の結末に現実性を入れちゃって納得いかない人っているんですねー。

ちなみにその二人の友人は男性で、私も知っている人なんですけどねー。

絵本の紹介を私もいずれしたいなと思っています。








『陰陽師』(夢枕漠著)

安倍晴明と源博雅が宮廷の鬼の事件を解決する話。短編集になっていて読みやすい。

読むきっかけは、家に置いてあったのと、映画を見て面白くて読んだ。内容は映画とは別物である。

鬼というのは、強い恨みを持った人間だったり、物に意志が宿ったりするもの。例えば、笛を愛していてどうしてもその笛を吹きたいという強い欲望が鬼となって出現する。

晴明は紙を人に変えて鬼を退治する道具に使ったりする。空海にひっついていた蝶や他のものを操って鬼を退治する。

晴明は博雅を小馬鹿にしているが、実は信頼しているところが良い。事件の解決は晴明がするというよりも博雅にさせて自分は楽しんでいるところがある。また、多感な博雅は心情が変化しやすく人間味があるから好きな人物。

晴明自身も実際には良い人で、あまり周りの目は気にしないような人。

好きなエピソードは、肝が一番据わっているのは誰かを競うことになり、幽霊がでるような橋に一人で博雅が出掛けていった。橋の下に隠れていたカエルが女性に化けて博雅にとりつく。これもまた晴明が博雅自身に討伐させるところが良い。


前日までどうしようどうしようと悩んでいた中3生。

こんなことなら読書記録をしておけばよかったとまで言っていましたが、彼の説明は分かりやすかったですよ。

こちらからの質問にも的確に答えてくれました。

次回は、もっとちゃんと練って読んで参加すると言っていました。

ちょっと自分の紹介がうまくできずに悔しかったようです。

でもそれいいことです。




■続いて私。

『先物取引被害救済の手引き』

読むきっかけは、15年以上前に先物取引で大きな損失を出したが、知識や経験が増え、騙されたことに気づき憤慨。何とか一矢報いる方法はないかと思い、本人訴訟を行おうと考えた。そのときに役に立ったのがこの書籍。

 

内容は、先物取引の法理の概要、被害の実態、取引の類型と問題点、対策、判例が掲載されている。特 に、当事者にとっては、業者別の訴訟件数、事件の把握方法、裁判方法の手続き、証拠の保全方法、立証の方法、先物取引の過去の判例、訴状・準備書面の フォーマットなどがふんだんに書かれており、この書物なしでは訴訟を提起することはできないでしょう。弁護士など法曹関係者に向けて書かれたものだが、先 物取引を自分で行った経験のある一般人ならば十分に理解可能である。

 

編者は、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会。発行者は、民事法研究会。

 

民事法研究会は、他に独立図書として、建物明渡し、過払い金返還請求、相続事件、破産、保険金の請求、離婚調停、後見人、事業譲渡、登記実務、特定商取引、少額訴訟の方法などを出版している。

 

日本弁護士連合会消費者問題対策委員会は、他に独立図書として、フランチャイズ事件、公益通報者保護、保証人保護、欠陥住宅被害、金融商品取引被害、宗教トラブル被害、消費者訴訟の方法などを編集している。

 

もし自分が消費者問題の当事者となった場合には、代理人を頼むことができなくても、自分で調べて対応することがこれらの書物で可能になると思う。








■最後はうちの妻です。

『山川さん、黒齋さん、いまさらながら スピリチュアルって何ですか?』

対談形式。幸せな生き方とは何かを伝えている。山川夫妻は、日本で初めてスピリチュアルの翻訳本を出した人たち。

スピリチュアルが存在するのかどうかという点について、あった方がいろいろと物事が理解しやすいと思うならばそれでいいんじゃないかと言っている。人生は 楽しむのが目的であり、自分自身を深く知ることも大切であると述べている。自分自身を深く知っていれば、自己アピールを他者にしたときにだいたい他者は受 け入れてくれるものである。本当の自分に戻ることができたときに人は幸せになれると言っている。


5回2






今回の読書会は、初めて絵本の紹介がありました。

また、雑誌の紹介もあり、またまたバラエティに富んだものとなりました。



皆さんの今回の感想は、

■疑問点を持って参加したいと思う。次回はひねくれた本を紹介したい。

■違った年代の参加者、多種多様な紹介本があり面白かった。

■出てきた紹介本がみなバラバラで素晴らしかった。次も面白い本を持ってきたい。

■絵本が出てきたのが面白かった。疑問を持って参加してくれたところも面白かった。

■2時間で5人は時間的にも紹介的にも妥当だった。学生の初参加ということで、本来の読書会の目的に一歩近づいたのは良いと思いました。参加者が、次も参加したいと言ってくれて実際に参加してくれるのは本当にありがたいことです。

第5回 北区の読書会 第一部 内容

第5回 北区の読書会 第一部 内容




9/27(日)第5回読書会 第一部を10:00~13:00で実施しました。

参加者は2名です。

今回の課題図書は『まほろ駅前多田便利軒』(三浦しをん著)です。

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)/文藝春秋
¥605
Amazon.co.jp



常連メンバーのため、自己紹介は割愛です。

今回はまず読んでもらった感想を伺いました。

『読む前は軽い話だと思ってましたが、読みやすいけれども、刺さるエピソードが多かった気がします。由良事件で多田が言った「幸せを与えることができる」 というセリフなど、全体的に傷を何らか抱えている人が登場しますが、傷は無くならないけれども、新しい希望もあるんだということを伝えていたと思いまし た』

『まほろ市が抱える問題は全国に広がっているものであり、作者のスケールの大きさが感じられた。読後に考えさせてくれる小説であり、課題図書としてはとても良いものだと思う』



続いて、いつものようにキャラクター分析です。


1.多田啓介

■真面目で優しい。やらなくても良いところまでやってしまう。この真面目さは本来持っているものだったのか?それとも後天的なものなのか?就職・結婚して いたときの多田は本来持っていた真面目さで暮らしていたが、子供を亡くしてからは、別の真面目さを出現させている。これは、楽な生き方をしてはいけないの だという罰をうけなければならないという意識からくるのではないか?会社を辞めて便利屋をやっているのも、あえて苦しい道を行かなければならないと考えて いる節がある。

■要領よく生きていけるタイプではあるが、そのやり方を知っているけれども、要領悪く生きていこうとしている。

■多田には父性性がある。いつもは朝ご飯など食べないのに、女子高生をかくまうことになった多田は朝ご飯を女子高生のために毎日行天に作らせたりしている。



2.行天晴彦

■苦しんでいる人に敏感である。

■自分はどうでもいいと思っている。

■知的好奇心が強い。高校生までは、人間というもの(両親が基本)を理解することができず、かなりの不安を抱えていた。その不安を学校の勉強で代替わりさせていたのではないか?

■高校生までは、あきらめており、人形のようで、生きるエネルギーというものがなかった気がする。




続いて、テーマ分析です。

■苦しんでいる人に必要なものを与えよう。特に親の愛情をもらえずに育ち、苦しんでいる人には。

■親子問題→傷→社会問題。傷ついても必要なものを与えることで、社会問題が縮小していく。





その他、以下の点について意見がでました。

■行天の親はどうして孫のはるを引き取ろうとしたのか?

血筋を絶やさないようにしたかったのではないか?行天と同様に7エリートに育てたかったのでないか?

■行天はどんな育てられ方をしたのか?

生活の世話は放置され、勉強だけをやれと言われていた。両親は近所や親戚などの体面を気にするタイプではないか。由良の両親に似ている。血筋を大切にしすぎている。

■行天は実家になぜ帰ったのか?

実家の両親に孫を渡すことになれば、また自分のような子どもが育ってしまうと考え、両親を殺しにいった可能性がある。

■三峯凪子はどんな人か?

行天をも緊張させるような人間。行天は凪子さんでなくても、必要なんだと自分が思えば精子をだれにでも提供できただろう。

■行天が暴力に手慣れているのはなぜか?

学生時代に両親から手慣れた虐待を受けていた可能性または自分はどうでもいいという考えから理性が剥奪し、本能で動けるようになっているから。

■行天は山下に刺されるつもりだったのか?

山下に刺されるつもりだった。しかし、刺された行天は多田に見つけてもらいたかったのだろう。

■多田・行天の年齢はいくつか?

20台中盤か30台中盤あたり。

■殺人事件の被疑者と被害者の関係

警察庁の調査によると、殺人の被害者の50%は被疑者の親族。その割合は年々微増傾向にある。特に40歳代の親族が高齢の親を殺害、65歳以上の親族が高齢の配偶者を殺害する割合が年々高まっている。





今回の書籍は、2名ともに課題図書としては話がいのあるものだったという感想でした。

ただし、行天の過去がはっきりと書かれていない為にキャラクター分析しにくいという部分がありました。

これは次作以降に明らかになる可能性がということで納得。

今回はメンバーの読後の感想を先に聞くという形を取りました。

今後は同様の導入方法を採り、キャラクター分析やテーマ分析に関しては、話し合いの進行をスムーズに進めるための補佐という形にしていこうと思っています。

次回の課題図書は『火花』(又吉直樹著)を扱うことになりました。

第4回 北区の読書会 第二部 内容

第4回 北区の読書会 第二部 内容






8/30(日) 第4回2部読書会(書籍紹介型)を14:30~16:30で実施しました。

参加メンバーは4名。

新しいメンバーが1名参加されましたので、最初に自己紹介を行ないました。

新メンバーは、女性で出版関係の職場に勤めているそうです。

■まずは、私から。


死霊狩り(ゾンビー・ハンター)〈1〉 (ハルキ文庫)/平井 和正
¥605
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死霊狩り(ゾンビー・ハンター)〈2〉 (ハルキ文庫)/平井 和正
¥626
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死霊狩り(ゾンビー・ハンター)〈3〉 (ハルキ文庫)/平井 和正
¥605
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何か面白いものはないかと中学生時代に押入れを探検していたらこの本が出てきました。どうやら、父の弟のもので、面白くむさぼるように読んだ覚えがあります。わからない漢字がたくさんありましたが、ストーリーに引き込まれていきました。私が読書をするようになったきっかけの書籍です。

内容は、主人公の田村俊夫が宇宙外生命体と戦うSFものです。CIAや中国特務工作員やアラブゲリラといった世界的な紛争を織り交ぜながら話が進みます。 荒唐無稽ですが、主人公に感情移入でき、エログロ描写はあるものの、あまりおぞましさは感じられず、どちらかというと高尚な感じさえ醸し出しています。

テーマは、暴力、仲間意識、異物の排除、人類愛などで、いわゆる人類ダメ小説と言われています。

著者の平井和正氏は、今年の1月にご逝去されました。8マン・ウルフガイ・幻魔大戦が有名です。私はSF短編とウルフガイをよく読んでいました。異物を排除しようとする人間の醜さに怒りを覚えた記憶があります。超人田村俊夫に憧れて、彼の心の葛藤に酔いしれていました。

今読み直ししても、私にとっては十分に黄金小説です。





■続いて、常連のOさん。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)/村上 春樹
¥562
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村上春樹氏のエッセイ本。中学時代に読んでいましたが、今読んだ方が40倍面白いです。

内容は、執筆することについて書かれています。毎日10㌔走るといった規則正しい生活を行っており、作家としての才能を自身が持っていると思っていないが、徹底して物事に取り組むことの重要さを説いています。

今回は書籍の紹介というよりも「村上春樹」についてご紹介したいです。彼は世界的な作家ですが、彼の本には特徴があるようです。外に開かれている本、翻訳しやすい本だと言われています。多言語を意識して書いているそうで、内側からではなく外側から見てわかりやすい視点を持っています。これが海外に受け入れられている要因です。対象との距離の取り方が徹底しています。また、文化的なもの(お化け)を受け継いでいる本が多く、どの海外でも昔から存在した世界同構造の物語を書いています。

ベストセラーになった「ノルウェイの森」は内側からの視点で書かれたものですが、それ以降は日本を離れて外側からの視点で書くものが多くなっています。日本に離れたり近づいたりを繰り返して作家活動を行っています。

おススメの小説は「羊をめぐる冒険」で、参考にしている物語があるようです。内容は友達を亡くして成長する物語です。

村上春樹は、読者との交流も大切にして、ホームページでは読者からの質問に一つずつ答えています。

彼の小説のテーマは、人がいなくなった後に心の傷をどうしていくか?お化けに狙われた人を守って戦うといったところでしょう。





■続いて、新しい参加メンバーのOさんです。

たそがれたかこ(1)/入江喜和
¥価格不明
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この漫画がすごい!のランキング入選作品です。疲れ果てていた日常に自己肯定や安心感や勇気を与えてくれる作品でした。

内容は、バツイチの45歳の女性が母親と二人で暮らしている話です。彼女には夫と子供がいましたが、離婚して子供は夫の側にいます。これからどうやって生 きていこうかと悩んでいる最中、10代~20代のバンドにはまります。バンド好きな近所の中学生と話をするようになり、50歳の自由人と知り合うようにな り、そういった人たちの影響で、自分はもっと自由に生きていいんだと気づき、人の和に入っていけるようになります。そうしたことが淡々と描かれています。心情描写で共感できるポイントがいくつも散りばめられています。

テーマは、生きにくさの中で日々の小さな幸せをどう感じるかです。





■最後はうちの妻です。

プロが教えるはじめてのNLP超入門/芝 健太
¥1,404
Amazon.co.jp

神経言語プログラミングというカウンセリングの手法の一つを紹介しています。特にカウンセリングの実践法が載っており、プロとしてカウンセラーになるには勉強すべき内容が多数掲載されています。
NLPはアメリカが発祥で、言語表現・非言語表現・無意識の活用法といった特徴を持ち、人間をコンピューターに例えています。五感から神経を通じて情報を 得たのち、それを脳に入力して、行動や心情を出力するシステムが人間であるという捉え方です。人間の思考や行動のパターンは脳のプログラムに左右されるの で、そのプログラムのゆがみを正していくという手法です。






今回の読書会では、初めて漫画の紹介がありました。

また、書籍ではなく、「作家の紹介」という視点もあり、バラエティに富んだものとなりました。

人それぞれ切り口が違っているので面白いですね。

皆さんの今回の感想は、

■参加者が増えると視点が増えるので話が活性化する。
■楽しかった。次回もまた来たい。話せてすっきりした。
■楽しかった。切り口がみな面白い。みなさん、この読書会に雰囲気があっていると思う。