第5回 北区の読書会 第一部 内容 | 本人訴訟日記(以前→過払い金請求日記)

第5回 北区の読書会 第一部 内容

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9/27(日)第5回読書会 第一部を10:00~13:00で実施しました。

参加者は2名です。

今回の課題図書は『まほろ駅前多田便利軒』(三浦しをん著)です。

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)/文藝春秋
¥605
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常連メンバーのため、自己紹介は割愛です。

今回はまず読んでもらった感想を伺いました。

『読む前は軽い話だと思ってましたが、読みやすいけれども、刺さるエピソードが多かった気がします。由良事件で多田が言った「幸せを与えることができる」 というセリフなど、全体的に傷を何らか抱えている人が登場しますが、傷は無くならないけれども、新しい希望もあるんだということを伝えていたと思いまし た』

『まほろ市が抱える問題は全国に広がっているものであり、作者のスケールの大きさが感じられた。読後に考えさせてくれる小説であり、課題図書としてはとても良いものだと思う』



続いて、いつものようにキャラクター分析です。


1.多田啓介

■真面目で優しい。やらなくても良いところまでやってしまう。この真面目さは本来持っているものだったのか?それとも後天的なものなのか?就職・結婚して いたときの多田は本来持っていた真面目さで暮らしていたが、子供を亡くしてからは、別の真面目さを出現させている。これは、楽な生き方をしてはいけないの だという罰をうけなければならないという意識からくるのではないか?会社を辞めて便利屋をやっているのも、あえて苦しい道を行かなければならないと考えて いる節がある。

■要領よく生きていけるタイプではあるが、そのやり方を知っているけれども、要領悪く生きていこうとしている。

■多田には父性性がある。いつもは朝ご飯など食べないのに、女子高生をかくまうことになった多田は朝ご飯を女子高生のために毎日行天に作らせたりしている。



2.行天晴彦

■苦しんでいる人に敏感である。

■自分はどうでもいいと思っている。

■知的好奇心が強い。高校生までは、人間というもの(両親が基本)を理解することができず、かなりの不安を抱えていた。その不安を学校の勉強で代替わりさせていたのではないか?

■高校生までは、あきらめており、人形のようで、生きるエネルギーというものがなかった気がする。




続いて、テーマ分析です。

■苦しんでいる人に必要なものを与えよう。特に親の愛情をもらえずに育ち、苦しんでいる人には。

■親子問題→傷→社会問題。傷ついても必要なものを与えることで、社会問題が縮小していく。





その他、以下の点について意見がでました。

■行天の親はどうして孫のはるを引き取ろうとしたのか?

血筋を絶やさないようにしたかったのではないか?行天と同様に7エリートに育てたかったのでないか?

■行天はどんな育てられ方をしたのか?

生活の世話は放置され、勉強だけをやれと言われていた。両親は近所や親戚などの体面を気にするタイプではないか。由良の両親に似ている。血筋を大切にしすぎている。

■行天は実家になぜ帰ったのか?

実家の両親に孫を渡すことになれば、また自分のような子どもが育ってしまうと考え、両親を殺しにいった可能性がある。

■三峯凪子はどんな人か?

行天をも緊張させるような人間。行天は凪子さんでなくても、必要なんだと自分が思えば精子をだれにでも提供できただろう。

■行天が暴力に手慣れているのはなぜか?

学生時代に両親から手慣れた虐待を受けていた可能性または自分はどうでもいいという考えから理性が剥奪し、本能で動けるようになっているから。

■行天は山下に刺されるつもりだったのか?

山下に刺されるつもりだった。しかし、刺された行天は多田に見つけてもらいたかったのだろう。

■多田・行天の年齢はいくつか?

20台中盤か30台中盤あたり。

■殺人事件の被疑者と被害者の関係

警察庁の調査によると、殺人の被害者の50%は被疑者の親族。その割合は年々微増傾向にある。特に40歳代の親族が高齢の親を殺害、65歳以上の親族が高齢の配偶者を殺害する割合が年々高まっている。





今回の書籍は、2名ともに課題図書としては話がいのあるものだったという感想でした。

ただし、行天の過去がはっきりと書かれていない為にキャラクター分析しにくいという部分がありました。

これは次作以降に明らかになる可能性がということで納得。

今回はメンバーの読後の感想を先に聞くという形を取りました。

今後は同様の導入方法を採り、キャラクター分析やテーマ分析に関しては、話し合いの進行をスムーズに進めるための補佐という形にしていこうと思っています。

次回の課題図書は『火花』(又吉直樹著)を扱うことになりました。