本人訴訟日記(以前→過払い金請求日記) -263ページ目
<< 前のページへ最新 | 259 | 260 | 261 | 262 | 263

契約内容

2回目の首脳会談。
契約条件を考える上で、いくつかの情報を山下から聞き出しておいた。
教室長は5年選手であたしと同じ年。営業は全然できないらしい。半年くらい前に結婚したが、家に帰りたがらないらしい。
「なんで?新婚ほやほやじゃん。嬉しくって仕事が手につかないって感じなんじゃないの??」
「いえいえ、とんでもない。結婚する前から結婚したくないって言ってたもん。マリッジブルーだった」
「それって新婦がなるもんじゃないの?どうして男が」
「んー俺もよくわかんないんですよ~とにかく精神的に今は辛い状態らしくて、売上なんて言ってる場合じゃないらしいですよ」
「そんなプライベートなことで仕事できないってのはありなの?」
「うちの会社はありなのかも。でもそれで儲からないから金田さんを呼んだんですよ」
「そういうわけか。。。」
結婚したくなかったのに結婚しちゃったってところがなんかやだなあと思いつつも、現場に清水さん登場。


「待ちましたか?」
「いえいえ、来たばっかりですよ」
今日は笑っていない清水さん。
「で、金田さんからの契約条件はどんなもんです?」
あたしはバッグから紙を出して渡した。
「それ読んでもらえればわかると思うんですけど、説明します」
あたしからの条件はこう。



①個人営業委託契約(社員にはならない
②自由出勤(勤務日・時間の拘束はなし
③授業は原則担当しない(週2回で2コマくらいならOK)
④営業目標は冬期講習売上目標の250万円と来年4月時点での生徒数目標100名
報酬は冬期講習売上目標超過分と4月生徒数目標一人超過あたり1万円
⑥冬期講習売上目標が超過しなくても、営業責任は負わない。
⑦4月生徒数目標が超過しなかった場合、あたしがそのマイナス分を一人あたり1万円会社に払う
⑧立場は非常勤講師で、授業の担当分は時給計算で報酬をもらう。
⑨契約期間は来年3月末まで。



「ちょっとわからないところがあるんですけど。。。」
と清水さん。
「この⑦番のとこのマイナス分を会社に払うっていうのはいいんですか?」
「いいです」
えぇぇ!!」と軽く叫ぶ山下。
「払うの?行かなかったら?」
「払うよ」
「なんで?」
不思議そうな目であたしを見つめる山下。
「会社辞めてさ、一人になったわけよ。そろそろ背水の陣を引かないとね」
「てか、会社辞めた時点で1年間もニートやってる時点で既に背水の陣でわ??」
「そうとも言えるな」
冷静に清水さんが横槍を入れる。
「じゃあ、給料みたいなのはいらないで、成功報酬だけでいいってわけですね??」
「そうです」
えぇぇ!!」とまた山下。
「成功報酬って。。。ちょっと紙見せてくださいよ」
と清水さんから受け取る。
じっと見て
「じゃあ、冬期講習の売上が250万だったら報酬0円てこと??」
「まあ、そういうことだね」
アホじゃん
「そうとも言う。しかし、あたしは自分に負荷をかけないと動かないから」
「まあ、昔からそういう人でしたけど、いいんですか?4月70名だったら30万払うんですよ。会社に」
「そういうことだね」
「そういうことだねって。。。あははは
山下急に高笑い。
ここで笑いのなかった清水さんの口元に笑みが!
「じゃあ、これで契約書作ってきますよ」
えぇぇ!!いいんですか!?この条件で?」と今度はあたし。
「あっ!いいですよ。でも金田さんにとっては不利な条件じゃないかなあとは思うんですけど」
ひっこみつかないあたしは
「OKです」
こうして前代未聞の契約が成立した。

営業ならやる

「んーんーんー。。。」
がらにもなく考え込むあたし。
先日の山下の電話から1週間。その偉い人、清水さんと山下とあたしの3人は飲み屋の座敷で向かい合っていた。
「はっきり言います。あたしはもう塾の講師はやりたくないんです。もう10年もやってきたんで」
横から煙草をくゆらせて山下。
「まあ、そういうと思ったんですけどね」
なぜか 笑みをたたえながら あたしの正面にいる清水さんが
「金田さん、どういう条件ならやってくれます??」
こ、この人、人の話聞いてないんかっ!
そこで冒頭の「んーんーんー。。。」につながる。
「じゃあ、営業だけならやりますよ。授業はしたくないから。そこには教室長はいるんですか?」
「います」
「じゃあ、その教室長がいるならその人がやればいいんじゃないですか?」
ここで また笑みをたたえながら 清水さん。
「それがねえ~売上がでないんですよ。生徒数も減っちゃって、今度冬期講習があるんですけどねえ。。。それでいい人いないかなあ~山下さんってね?」
山下に同意を求める清水さん。
どうやらそこの教室長は使えないらしい。
「もし営業でやるのなら営業目標いわゆる売上目標達成数値みたいのをあたしに示してください。で、社員にはなりたくないので個人委託契約みたいな形でもいいならやります」
まだまだ笑みをたたえながら 清水さん。
「具体的にはどんな条件ですか?」
「んー、まず営業目標がほしいですね」
「目標は、来年4月スタート時の生徒数100名。と、今回の冬期講習売上目標250万円です」
はやっ!すぐ目標でるんかい!こいつら あたし対策してきたな。
横目で隣の山下に
「あんた策士でしょ?」
山下はにやにや笑いながら
「そりゃそうです。金田さんを落とすにはどうしたらいいか研究してきましたもん」
「じゃあ、その2つの目標を達成すればいいんですね?」
「そうです」
「ふむ。。。わかりました。じゃあ、こちらからもいくつか条件作ってきますので、それをみて個別契約するかどうかの判断をしてください」
「わかりました」
くっついてしまった笑みをまだまだたたえながら 清水さん。
「あ!あと教室は見たほうがいいですか?」
「いや、特に見なくてもいいです。でも一回そこの教室長とは話しておきたいですね」
「わかりました」


帰りの車中。
「細かいこともっと聞かなくていいんですか?」
山下が心配顔でハンドルを握りながら聞いてくる。
「聞くよ。今から。まず、あの清水さんってのは何者?」
。。。。。。
「なに?その沈黙は?」
「いやあ~俺もよくわかんないんですよ」
「え!だって塾の上司でしょ??違うの?」
「いやそうなんですけど、なんていうのかなあ、塾は本業じゃなくって他に本業があるみたいなんですよ」
ますますわからん。
「本業って??」
「だから、塾は一部門であって、会社の一部なわけですよ。確か、保険とか清掃とかが本業だったみたいな」
「みたいなって。。。」
「しかも彼は全然塾で教えてないし」
「彼が塾長なんじゃないの?」
「そうなのかなあ~」
そうなのかなあって。。。
「じゃあ、誰が塾長?」
「俺も知らないんですよ。聞いたこともないなあ」
聞けよっ!
「なんか本社の営業と経理全部やってる人かな」
「とりあえず偉いことには間違いないのね」
あたしはもらった名刺を見た。営業部長と書いてある。ただし、名刺には○○商事としか書いてない。
「まあ、商事会社ってことは実態がつかめないってことね」
「あと、教室みなくてもいいの?」
「別にいいよ。山下が入ってる塾だから、そんなすごい大変じゃないでしょ?」
「いや、俺は違う教室だから」
えぇぇ!!違うの?」
「うん。金田さんに頼もうとしてる教室は違いますよ。俺は他の教室の教室長だから」
「マジかいっ!言ってよ先に」
「言ってなかったっけ?」
「聞いてないよっ」
「だからそこの教室は大変だと思う」
この一言が真実であることを知るのにたいして時間はかからなかった。

突然の電話

【スタッフ】

■あたし=金田誠(かねだまこと)
■山下=某塾の教室長(あたしの元いた塾の後輩)
■清水さん=某塾の本体のお偉いさん(この人が笑みをたたえるとき何かある!)
■三宅=某塾の教室長(おかま疑惑あり。あたしが担当する教室の室長)
■川崎=専任社員(髭面。最高齢の50歳。どうしようもない。。。)
■軍司=専任社員(坊主頭。若い)
■森下=講師(理系。超高学歴。ネクタイしろよっ)
■佐久間=講師(理系。大学院生)
■今野=講師(唯一の女性。筋肉質)
■橋本=中途専任社員(経歴・学歴・面接問題なしだったのだが。。。)
■高橋=中途専任社員(50歳のご高齢。子供3人)
■宮野=講師(理系。ミニ森下)

【生徒】

●坂本家=4人家族で姉弟。家族全員書類嫌い
●勅使河原=中3女子生徒。誰も捕まえられない。。。
●伊能姉妹=お得意様♪すぐお腹が痛くなる。。。
●まさる=小6男子。日課はパンツ見せ
●鈴木=中3女子。親子ともども豪快
●小笠原=高3男子。辛辣だが、ボーカリストで人気あるらしい
●仁科=高3男子。人の脳みそで相撲をとる
●坂井=小6受験科男子。お調子者
●山田=中3男子。おばかだがいい奴
●五十嵐=中3女子。うるさいがいい奴
●大沢=高2女子。なにごともスローペース・マイペース


着信!「おっ!久しぶりの山下からだ」

「はいは~い、もしもしぃ~」

「あ~お久しぶりです。山下です。今何してるんですか??」

「何もぉ~」

「え!何もしてないんですか??だって、漁師になるって言って辞めたって。。。」

「あはは。んなわけないじゃん。そーいわないとあそこの会社辞めさせてくんないから」


そう、あたし(誠)は中堅塾を辞めてぷらぷらのぷ~太郎。いくばくかの退職金とネットでのクリック保証で食いつなぐおじさんニート。そんなあたしに昔の塾の後輩から電話がかかってきたのだ。


「どうするんですか?これから」

「あ~とりあえず一億稼ぐから」

「!?意味わかんないからっ。今度会って飲みましょうよ。色々ききたいこともあるし」

「いいよ~で、そっちはどうなの?なんかまた塾に入ったって聞いたけど」

「まだそこにいますよ。でちょっと会ってほしい人がいるんですけど」

むむ。。なにやら怪しげな展開。

「会ってほしい人??誰それ?」

「かなり偉い人なんですけどね」

かなり偉い??つーと政治家?芸能人か?まてよ、宗教勧誘??

「あ!うちの会社の上司ですけど」

「な~んだ。山下の塾の上司。。。えー!!なんで塾の人とあたしが会わなくちゃいけないの??俺もう絶対塾には入らないよ」

「って言うと思ったよ。全然塾に入る気ないですか?」

「ないない。だって俺教えるの嫌いだもん!!」

「じゃあ、どうして今まで塾講師やってたの??」

「えーやることなかったから、そこに就職しちゃったみたいな。で、やってみてあー教えるのってめんどくせえ。いやだって開眼!?」

「。。。そうですか。。。まあ、とりあえず話しだけでもきいてみてくださいよ」

ということで話だけでも聞くことに。

<< 前のページへ最新 | 259 | 260 | 261 | 262 | 263