第6回 大人と子どもの交流読書会 第一部 内容 | 本人訴訟日記(以前→過払い金請求日記)

第6回 大人と子どもの交流読書会 第一部 内容

第6回 大人と子どもの交流読書会 第一部 内容




10/25(日)第6回読書会 第一部を10:00~13:00で実施しました。

参加者は2名です。

残念ながら、中学生・高校生の参加はありませんでした。

今回の課題図書は『火花』(又吉直樹著)です。

火花/又吉 直樹
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常連メンバーのため、自己紹介は割愛です。

今回も、まず読んでもらった感想を伺いました。

『読みやすくさらっといける文章。

独特な言い回しでところどころ言っていることがわからない。

共感できるところがあった。

自分が日常的に疑問に思っていたことが解けた。

楽しく読めた。

今勉強している学校で、セラピストは生き方だと言われているが、言葉として理解できるもののつかみきれないところがあった。

でも、この小説の中で、芸人は生き方だという神谷の考え方があり、そこで腑に落ちた。

仕事の時だけでなく、普段から周りの人をいやせる(笑わせる)ような生き方をするべきであり、仕事のときだけ小手先の技術を使うのはいけないのだということがいえるのではないか。

ただし、思うままに生きることと自分に課されている役割との間でバランスをとることが必要であり、神谷の様に世間を無視して舞台に出るチャンスを失うようではいけないことがわかった。』


『フロイトやエリクソンの精神心理学にそって見ると、神谷の生き方は面白い。

フロイトの言うイドの快の感情と超自我の善の感情が、神谷の中でお笑いに関して一致していると思った。

よって、自我の損得勘定が育っていかない為、世間には受け入れられていないのではないか。

エリクソンの言うアイデンティティの拡散がおきず、自我の確立に至っていない神谷の精神構造が見て取れる。』





続いて、いつものようにキャラクター分析です。


1.神谷

■大きい目での優しさを持っているが、細かいところの優しさは雑で無頓着。

■自分の身近な人で、してあげたいと思った人には優しさを丁寧に細かくすることはできる。

■世間を無視して表舞台に出るチャンスを自ら潰している。

■リアルに物事を考えることが出来ない中2病者=純粋

■小さな壁をクリアせずに、するりするりとかわして生きてきたので、その分大きな壁にぶち当たりどうしていいかわからなくなっている。





2.徳永

■徳永=又吉のイメージ

■神谷や世間を見る観察者

■真面目である。

■神谷のモデルは、もう一人の又吉でもある。自分の中にある願望が神谷である。







続いて、テーマ分析です。

■初めての先輩・後輩という通過儀礼的接触を通して、世間との折り合いをどうつけていくかの成長物語。

■周囲の人間へ感謝の心を持つことが大切である。

■感謝の心を伝える=人を笑わすこと





その他、以下の点について意見がでました。

■神谷の行く末は、今後どう方向転換できるかどうかにかかっている。完全に芸人を辞めるのも選択肢。

■神谷の行く末は、神谷がどの職を選択するかが問題ではなく、世間との距離感をどうとるかが重要。

■徳永は当初、神谷の何に惹かれたのか?純真=嘘をつかない=自分に正直なところ。

■神谷は当初、徳永のどこに惹かれたのか?たまたまか可哀想に思ったから。

■芥川賞に該当する作品か?表現の美しさがあるかどうかの基準は曖昧でわからないが、又吉の美意識は文章から感じられた。

■芥川賞としてふさわしいかどうかを考えるよりも、メディアに出ている芸人の又吉が書いたことで、本に対する興味が世間で増えていくことは望ましいことではないか?

■小説の中で笑いの構造のようなものが紹介されていると思ったが、なかったのが残念。調べたところ、日本人の笑いは世界的に見ても多様で、「無知」「勘違い」など、その構造は8種類あると研究者が言っていた。




当初、本を読み終わったときはあまり作品の良さがや意味がわかりませんでしたが、読書会で意見を出したり聞いたりすると、再読した感じになり、作品の良さが浮き出てきた感じがしました。