営業ならやる | 本人訴訟日記(以前→過払い金請求日記)

営業ならやる

「んーんーんー。。。」
がらにもなく考え込むあたし。
先日の山下の電話から1週間。その偉い人、清水さんと山下とあたしの3人は飲み屋の座敷で向かい合っていた。
「はっきり言います。あたしはもう塾の講師はやりたくないんです。もう10年もやってきたんで」
横から煙草をくゆらせて山下。
「まあ、そういうと思ったんですけどね」
なぜか 笑みをたたえながら あたしの正面にいる清水さんが
「金田さん、どういう条件ならやってくれます??」
こ、この人、人の話聞いてないんかっ!
そこで冒頭の「んーんーんー。。。」につながる。
「じゃあ、営業だけならやりますよ。授業はしたくないから。そこには教室長はいるんですか?」
「います」
「じゃあ、その教室長がいるならその人がやればいいんじゃないですか?」
ここで また笑みをたたえながら 清水さん。
「それがねえ~売上がでないんですよ。生徒数も減っちゃって、今度冬期講習があるんですけどねえ。。。それでいい人いないかなあ~山下さんってね?」
山下に同意を求める清水さん。
どうやらそこの教室長は使えないらしい。
「もし営業でやるのなら営業目標いわゆる売上目標達成数値みたいのをあたしに示してください。で、社員にはなりたくないので個人委託契約みたいな形でもいいならやります」
まだまだ笑みをたたえながら 清水さん。
「具体的にはどんな条件ですか?」
「んー、まず営業目標がほしいですね」
「目標は、来年4月スタート時の生徒数100名。と、今回の冬期講習売上目標250万円です」
はやっ!すぐ目標でるんかい!こいつら あたし対策してきたな。
横目で隣の山下に
「あんた策士でしょ?」
山下はにやにや笑いながら
「そりゃそうです。金田さんを落とすにはどうしたらいいか研究してきましたもん」
「じゃあ、その2つの目標を達成すればいいんですね?」
「そうです」
「ふむ。。。わかりました。じゃあ、こちらからもいくつか条件作ってきますので、それをみて個別契約するかどうかの判断をしてください」
「わかりました」
くっついてしまった笑みをまだまだたたえながら 清水さん。
「あ!あと教室は見たほうがいいですか?」
「いや、特に見なくてもいいです。でも一回そこの教室長とは話しておきたいですね」
「わかりました」


帰りの車中。
「細かいこともっと聞かなくていいんですか?」
山下が心配顔でハンドルを握りながら聞いてくる。
「聞くよ。今から。まず、あの清水さんってのは何者?」
。。。。。。
「なに?その沈黙は?」
「いやあ~俺もよくわかんないんですよ」
「え!だって塾の上司でしょ??違うの?」
「いやそうなんですけど、なんていうのかなあ、塾は本業じゃなくって他に本業があるみたいなんですよ」
ますますわからん。
「本業って??」
「だから、塾は一部門であって、会社の一部なわけですよ。確か、保険とか清掃とかが本業だったみたいな」
「みたいなって。。。」
「しかも彼は全然塾で教えてないし」
「彼が塾長なんじゃないの?」
「そうなのかなあ~」
そうなのかなあって。。。
「じゃあ、誰が塾長?」
「俺も知らないんですよ。聞いたこともないなあ」
聞けよっ!
「なんか本社の営業と経理全部やってる人かな」
「とりあえず偉いことには間違いないのね」
あたしはもらった名刺を見た。営業部長と書いてある。ただし、名刺には○○商事としか書いてない。
「まあ、商事会社ってことは実態がつかめないってことね」
「あと、教室みなくてもいいの?」
「別にいいよ。山下が入ってる塾だから、そんなすごい大変じゃないでしょ?」
「いや、俺は違う教室だから」
えぇぇ!!違うの?」
「うん。金田さんに頼もうとしてる教室は違いますよ。俺は他の教室の教室長だから」
「マジかいっ!言ってよ先に」
「言ってなかったっけ?」
「聞いてないよっ」
「だからそこの教室は大変だと思う」
この一言が真実であることを知るのにたいして時間はかからなかった。